課税標準の計算
課税標準
課税標準とは、税金の課税対象となる所得の合計額をいいます。
損益通算
損益通算とは、損失(赤字)と利益(黒字)を相殺することをいいます。
なお、損益通算できる損失(赤字)とできない損失(赤字)があります。
損益通算できる損失
損益通算できる損失は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得で生じた損失に限定されています。ただし、損益通算できる損失でも、以下の損失は例外として損益通算ができません。
不動産所得・・・土地を取得するための借入金の利子
譲渡所得・・・生活に通常必要ではない資産の譲渡損失、株式等の譲渡損失
損失の繰越控除
損失の繰越控除には、純損失の繰越控除と雑損失の繰越控除があります。
純損失の繰越控除
損益通算をしても控除しきれなかった損失額を純損失といいます。申告書の場合、純損失を翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年の黒字の所得から控除することができます。※白色申告は、適用外です。
雑損失の繰越控除
雑損控除をしても控除しきれなかった金額(雑損失)は、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができます。※白色申告も適用されます。
次の各記述のうち、正しいものには〇を、誤っているものには✖をつけなさい。
1.所得税の計算において、雑所得の金額の計算上生じた損失の金額(株式等の譲渡に係るものを除く)は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。[2014年5月試験]
2.上場株式の譲渡による損失の金額は、確定申告を要件として、不動産所得などの所得金額と損益通算することができる。[2015年10月再試験]
3.所得税において、上場株式等の譲渡により生じた損失の金額は、総合課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができる。[2014年1月試験]
4.ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。[2017年1月試験]
5.青色申告の所得税の計算において、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額(純損失の金額)が生じた場合、その損失の金額を翌年以後5年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができる。[2011年9月試験]
1.所得税の計算において、雑所得の金額の計算上生じた損失の金額(株式等の譲渡に係るものを除く)は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。
正解は、〇です。
損益通算できるのは、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得のみです。
2.上場株式の譲渡による損失の金額は、確定申告を要件として、不動産所得などの所得金額と損益通算することができる。
正解は、✖です。
上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得と損益通算できます。
3.所得税において、上場株式等の譲渡により生じた損失の金額は、総合課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができる。
正解は、✖です。
総合課税ではなく、申告分離課税です。
4.ゴルフ会員権を譲渡したことによる譲渡損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができない。
正解は、〇です。
生活に通常必要でない資産の譲渡損失は損益通算できません。
5.青色申告の所得税の計算において、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額(純損失の金額)が生じた場合、その損失の金額を翌年以後5年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができる。
正解は、✖です。
5年間ではなく、3年間であれば正解です。