ゆとり世代の読みもの

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わしはいつまで生きられるんじゃ~老後資金の話③~

今日は前回までの退職金、年金に引き続き、貯蓄の話をしたいと思います。

老後資金の話はこれで最後です。

 

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老後の生活費はいくら?

老後に必要な生活費は、退職前の生活を基準に次のように計算します。

夫婦とも健在の場合(月額)

退職前の生活費 × 0.7

夫のみまたは妻のみの場合(月額)

退職前の生活費 × 0.5

 

実際いくら必要なの?

先日、2019年6月3日、金融庁の金融審議会が「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表しました。これについてざっくり内容を説明していきたいと思います。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

 

 

1 現状整理

(1)人口動態等
ア 長寿化

  平均寿命 男性 81.1歳 女性 87.3歳

  健康寿命 男性 72.2歳 女性 74.8歳

健康寿命・・・健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間

平均寿命と健康寿命に9年~12年の差があり、この差を縮めることが重要

 

イ 単身世帯の増加

  昔 親と子、祖父母を含めた三世代が多かった

  今 少子高齢化を背景に夫婦のみの世帯や単身世帯が増加

 結婚後、夫婦と子、親と同居し、持ち家を持ち、老後の親の世話は子供がみるといううようなかつて標準的と考えられてきたモデル世帯は空洞化

 

ウ 認知症の人の増加

 65歳以上の4人に1人が、認知・判断能力に何らかの問題あり

→資産の管理が自由にできない状況

 

(2)収入・支出の状況


ア 平均的収入・支出

バブル崩壊以降「失われた20年」とも呼ばれる景気停滞の中、賃金も長く伸び悩み、収入は全体的に低下傾向

支出もそれに連動し、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると毎月約5万円の赤字が発生。

自身の保有する金融資産で補填が必要

 

イ 就労状況

2016年においては、65歳~69歳のうち男性55%、女性の34%が働いており、世界的にみても高水準

思考レベル、体力レベルも高水準で、高齢者の就労継続は今後もつづく

 

ウ 退職金給付の状況

退職金給付制度がある企業は徐々に少なくなってきており、2018年で約8割

給付額は、平均で1,700万~2,000万程度。これはピークの3~4割減少している。

 

(3)金融資産の保有状況

金融資産保有率 シニア層 > 若年層

65歳時点で平均保有率は、夫婦2,252万、単身(男性)1,552万、単身(女性)1,506万

不足額が毎月約5万発生する場合、20年で約1,300万、30年で約2,000万の取り崩しが必要となる。

この不足額は、特別な支出(介護費用や住宅リフォーム費等)は含まれていない。また、子に資産を残したいとなると、さらに必要となる。

 

(4)金融環境に対する意識

 内閣府が実施した世論調査では、全体の7割が「老後の生活設計を考えたことがある」と。理由は「老後に不安がある」とし、主要要因は「お金」であった。

 対処方法をどのように考えるかについては、「現役で働く期間を延ばす」、「生活費の節約」が多く挙げられたが、全体の3割が「若いうちから少しずつ資産形成に取り組む」と回答。

 しかし、「まとまった資金がない」や「金融商品に対して知識がない」などを理由に行動していない人が多く、意識と行動に乖離がみられる。

 

2 基本的な視点及び考え方

(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要

(2)ライフスタイル等の多様化により、個々人のライフプランにあった資産形成が必要

(3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための自助努力が必要

(4)認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうる

 

3 考えられる対応

(1)個々人にとっての資産形成・管理の心構え

現役、リタイヤ、老後等の節目でライフプランに適した行動をしていくことが重要

 

(2)金融サービスのあり方

顧客本位の業務運営の徹底、サービスに見合う適切な対価の説明と請求


(3)環境整備

ア 資産形成・資産承継制度の充実

イ 金融リテラシーの向上

ウ アドバイザーの充実

エ 高齢顧客保護のあり方

 

 この報告書を読んでみて、改めてファイナンシャル・プランナーが増々求められているような気がしました。

 ライフプランの多様化に伴い、ファイナンシャル・プランナーの知識を身に着けることは必須ような気がします。

 

それでは今日はこの辺で