個人住民税&個人事業税
住民税
住民税とは、都道府県が課税する道府県民税(東京都は都民税)と、市町村が課税する市町村民税(東京都特別区は特別区民税)に分かれます。
①その年の1月1日現在、住所がある都道府県または市区町村で課税される
②対象となる所得は前年の所得
③課税方法は賦課課税方式
課税する側である国や地方公共団体が税額を計算して納税者に通知する方式
④所得税と同様、所得控除があるが、所得税と比べて控除額が少ないものが多い
個人住民税の構成
均等割
個人住民税のうち、所得の大小にかかわらず一定額が課税される部分
所得割
個人住民税のうち、所得に比例して課税される部分
税率は前年の所得金額に対して一律10%
個人住民税の納付方法
普通徴収(事業所得者は通常この方法)
年税額を4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付する方法
特別徴収(給与所得者に適用)
年税額を12回(6月から翌年5月まで)に分けて、給料から天引きされる形で納付する方法
個人事業税
個人事業税は、都道府県が課税する地方税で、一定の事業所得または不動産所得のある個人が納税します。
①一定の事業所得または不動産所得のある個人が納税する
②対象となる所得は前年の所得
③(事業の所得金額ー290万円)×税率
・事業の所得金額=事業所得+不動産所得
・290万円=事業主控除額
・税率=業種によって3~5%
個人事業税の申告と納付
申告
事業の所得が290万円(事業主控除額)を超える人は、翌年3月15までに申告が必要です。
ただし、所得税や住民税の確定申告をしているときには、事業税の申告は不要です。
納付
個人事業税は、原則として8月と11月の2回に分けて納付します。
問題解説㊵~所得税の申告と納付2~
次の各文章の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数字またはそれらの組み合わせを(1)~(3)のなかから選びなさい。
1.1カ所から給与を受け取る居住者で、その年中の給与等の金額が2,000万円以下のため年末調整により所得税が清算されている者であっても、その年の給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が( )を超える場合は、所得税の確定申告をしなければならない。[2011年9月試験]
(1)10万円
(2)15万円
(3)20万円
2.年末調整の対象となる給与所得者は、年末調整の際に、所定の書類を勤務先に提出することにより、( )の適用を受けることができる。[2016年1月試験]
(1)地震保険料控除
(2)医療費控除
(3)雑損控除
3.その年の1月16日以後新たに業務を開始した居住者が、その年分から所得税の青色申告の承認を受けようとする場合、原則としてその業務を開始した日から( )以内に、「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。[2016年9月試験]
(1)2カ月
(2)3カ月
(3)6カ月
4.確定申告を要する納税者Aさんが平成30年2月1日に死亡した。Aさんの相続人は、同日にAさんの相続の開始があったことを知ったため、平成30年分のAさんの所得について( )までに所轄税務署長に対して所得税の準確定申告書を提出しなければならない。[2017年1月試験改]
(1)平成30年3月15日
(2)平成30年6月1日
(3)平成30年10月1日
1.1カ所から給与を受け取る居住者で、その年中の給与等の金額が2,000万円以下のため年末調整により所得税が清算されている者であっても、その年の給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が( )を超える場合は、所得税の確定申告をしなければならない。
正解は、(3)20万円です。
2.年末調整の対象となる給与所得者は、年末調整の際に、所定の書類を勤務先に提出することにより、( )の適用を受けることができる。
正解は、(1)地震保険料控除です。
雑損控除、医療費控除、寄付金控除を受ける場合は、確定申告が必要です。
3.その年の1月16日以後新たに業務を開始した居住者が、その年分から所得税の青色申告の承認を受けようとする場合、原則としてその業務を開始した日から( )以内に、「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
正解は、(1)2カ月です。
4.確定申告を要する納税者Aさんが平成30年2月1日に死亡した。Aさんの相続人は、同日にAさんの相続の開始があったことを知ったため、平成30年分のAさんの所得について( )までに所轄税務署長に対して所得税の準確定申告書を提出しなければならない。
正解は、(2)平成30年6月1日です。
4カ月以内の申告が必要です。
問題解説㊴~所得税の申告と納付~
次の各記述のうち、正しいものには〇を、誤っているものには✖をつけなさい。
1.1ヵ所から給与等の支払を受けている者で、その給与等の額が一定額以下のため年末調整により所得税が清算されている者であっても、その年中の給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が10万円を超える場合は、所得税の確定申告をしなければならない。[2015年1月試験]
2.小売業を営む事業所得者で、その年分の所得金額が2,000万円以下である者は、所得税の確定申告が不要である。[2014年9月試験]
3.所得税の確定申告書を提出すべき居住者が死亡した場合、その相続人は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、所轄税務署長に対し当該確定申告書を提出しなければならない。[2012年9月試験]
4.少額投資非課税制度における非課税口座(NISA口座)内で生じた上場株式等の売買益や配当金等を非課税とするためには、所得税の確定申告が必要である。[2015年5月試験]
1.1ヵ所から給与等の支払を受けている者で、その給与等の額が一定額以下のため年末調整により所得税が清算されている者であっても、その年中の給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が10万円を超える場合は、所得税の確定申告をしなければならない。
正解は、✖です。
20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。
2.小売業を営む事業所得者で、その年分の所得金額が2,000万円以下である者は、所得税の確定申告が不要である。
正解は、✖です。
年末調整される給与所得者であれば、不要ですが、事業所得者は原則として確定申告が必要です。
3.所得税の確定申告書を提出すべき居住者が死亡した場合、その相続人は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、所轄税務署長に対し当該確定申告書を提出しなければならない。
正解は、✖です。
4カ月以内の申告が必要です。
4.少額投資非課税制度における非課税口座(NISA口座)内で生じた上場株式等の売買益や配当金等を非課税とするためには、所得税の確定申告が必要である。
正解は、✖です。
NISA口座の取引は所得税の確定申告は不要です。
所得税の申告と納付
確定申告
確定申告とは、納税者が自分で所得税額を計算して申告、納付することをいいます。
確定申告期間は、翌年の2月16日から3月15日までの間です。
1月1日から12月31日までに生じた所得から所得税額を計算し、その翌年の2月16日から3月15日までの間に申告します。
なお、確定申告の方法には、確定申告書に記入して税務署に直接提出する方法や、郵送により提出する方法のほか、インターネットで確定申告書を提出する方法があります。
給与所得者で確定申告が必要な場合
給与所得者は、一般的に給与等から所得税が源泉徴収され、年末調整で所得税の計算が行われます。したがって改めて確定申告をする必要はありませんが、以下の場合には必要になります。
給与所得者で確定申告が必要な人
①その年の給与等の金額が2,000万円を超える場合
②給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合
③2か所以上から給与を受け取っている場合
④住宅の適用を受ける場合(※初年度のみ)
⑤雑所得控除、医療費控除、寄付金控除の適用を受ける場合
⑥配当控除の適用を受ける場合
準確定申告
納税者が死亡した場合には、死亡した人の遺族(相続人)が死亡した人の所得について確定申告を行います。
この場合の申告期間は、相続のあったことを知った日の翌日から4カ月以内です。
源泉徴収
源泉徴収とは、給与等を支払う人が(会社等)が支払いをする際に一定の方法で所得税を計算して、その金額を給与等からあらかじめ差し引くことをいいます。
年末調整
年末調整とは、給与所得から源泉徴収された所得税の清算を年末において、会社等が本人(会社員等)に代わって行うことをいいます。
問題解説㊳~税額の計算と税額控除2~
次の各文章の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数字またはそれらの組み合わせを(1)~(3)のなかから選びなさい。
1.所得税の住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は、住宅の取得等のための一定の借入金で、契約において償還期間が( )以上の分割により返済されるものである。[2014年9月試験]
(1)5年
(2)10年
(3)20年
2.居住者が平成30年中に住宅を取得して居住の用に供し、各年において住宅借入金等特別控除の適用要件を満たす場合、その適用を受けられる期間は最長で( )である。[2011年9月試験改]
(1)10年
(2)20年
(3)30年
3.所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、所得等した家屋の床面積が(①)以上で、かつ、その(②)以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものでなければならない。[2017年1月試験]
(1)①50㎡ ②2分の1
(2)①50㎡ ②3分の2
(3)①60㎡ ②3分の2
4.所得税の住宅借入金等特別控除は、適用を受けようとする者のその年分の合計所得金額が( )を超える場合は、適用を受けることができない。[2015年1月試験]
(1)1,000万円
(2)2,000万円
(3)3,000万円
5.内国法人から支払を受けた剰余金の分配に係る配当所得の金額が100万円で課税総所得金額が600万円である居住者の所得税における配当控除の金額を計算すると、( )である。[2011年5月試験]
(1)100万円×3%=3万円
(2)100万円×5%=5万円
(3)100万円×10%=10万円
6.上場株式の配当について配当控除の適用を受ける場合、配当所得について( )を選択して所得税の確定申告をしなければならない。[2014年9月試験]
(1)総合課税
(2)申告分離課税
(3)源泉分離課税
1.所得税の住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は、住宅の取得等のための一定の借入金で、契約において償還期間が( )以上の分割により返済されるものである。
正解は、(2)10年です。
ちなみに、一定の三世代同居改修工事をした場合は、償還期間が5年以上です。
2.居住者が平成30年中に住宅を取得して居住の用に供し、各年において住宅借入金等特別控除の適用要件を満たす場合、その適用を受けられる期間は最長で( )である。
正解は、(1)10年です。
3.所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、所得等した家屋の床面積が(①)以上で、かつ、その(②)以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるものでなければならない。
正解は、(1)①50㎡ ②2分の1です。
4.所得税の住宅借入金等特別控除は、適用を受けようとする者のその年分の合計所得金額が( )を超える場合は、適用を受けることができない。
正解は、(3)3,000万円です。
5.内国法人から支払を受けた剰余金の分配に係る配当所得の金額が100万円で課税総所得金額が600万円である居住者の所得税における配当控除の金額を計算すると、( )である。
正解は、(3)100万円×10%=10万円です。
配当(はいとう)なので、10%で覚えましょう。
ちなみに所得が1,000万円を超えると5%になります。
6.上場株式の配当について配当控除の適用を受ける場合、配当所得について( )を選択して所得税の確定申告をしなければならない。
正解は、(1)総合課税です。
問題解説㊲~税額の計算と税額控除~
次の各記述のうち、正しいものには〇を、誤っているものには✖をつけなさい。
1.所得税では、超過累進課税が採用されており、課税所得金額が多くなるに従って税率が高くなる。[2011年1月試験]
2.年末調整の対象となる給与所得者が所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、初めて適用を受ける年分については確定申告をする必要があるが、その翌年以降の年分については年末調整によることができる。[2015年9月試験]
3.申告分離課税を選択した上場株式の配当金に係る配当所得は、所得税における配当控除の適用を受けることができない。[2017年1月試験]
次の各文章の( )内にあてはまる最も適切な文章、語句、数字またはそれらの組み合わせを(1)~(3)のなかから選びなさい。
4.所得税において総合課税の対象となる所得に係る税率は、原則として課税標準が大きくなるに応じて税率が高くなる( )となっている。[2013年5月試験]
(1)累進課税
(2)比例税率
(3)制限税率
5.復興特別所得税額は、基準所得税額に( )の税率を乗じて計算される。[2017年1月試験]
(1)2.1%
(2)7.147%
(3)15.315%
1.所得税では、超過累進課税が採用されており、課税所得金額が多くなるに従って税率が高くなる。
正解は、〇です。
2.年末調整の対象となる給与所得者が所得税の住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、初めて適用を受ける年分については確定申告をする必要があるが、その翌年以降の年分については年末調整によることができる。
正解は、〇です。
3.申告分離課税を選択した上場株式の配当金に係る配当所得は、所得税における配当控除の適用を受けることができない。
正解は、〇です。
上場株式等の配当所得の課税方法は以下のとおりです。
税率は20.315%
①確定申告&総合課税
・配当控除の適用を受けられる
・上場株式等の譲渡損失との損益通算ができない
②確定申告&申告分離課税
・配当控除の適用を受けられない
・上場株式等の譲渡損失との損益通算ができる
③申告不要
・配当控除の適用を受けられない
・上場株式等の譲渡損失との損益通算ができない
4.所得税において総合課税の対象となる所得に係る税率は、原則として課税標準が大きくなるに応じて税率が高くなる( )となっている。
正解は、(1)累進課税です。
5.復興特別所得税額は、基準所得税額に( )の税率を乗じて計算される。
正解は、(1)2.1%です。
税額の計算と税額控除
総合課税される所得に対する税額
総合課税される所得から所得控除を差し引いた金額(課税総所得金額)に超過累進課税を適用して税額を計算します。
超過累進課税とは、課税所得金額が多くなればなるほど、高い税率が適用される課税方法をいいます。
分離課税される所得に対する税額
・課税退職所得金額に対する税額
退職所得は、ほかの所得とは別個に計算されます。
・課税短期譲渡所得金額、課税長期譲渡所得金額に対する税額
土地や建物などの譲渡によって生じた譲渡所得については、下記のとおりです。
短期・・・39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%)
長期・・・20.315%(所得税15%、復興時別所得税0.315%、住民税5%)
・株式等に係る課税譲渡所得等の金額に対する税率
株式等の譲渡によって生じた譲渡所得に対する税率は、20.315%です。
税額控除
税額控除には、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)、住宅の三世代同居改修工事にかかる特例、配当控除などがあります。
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅ローンを利用して住宅を取得したり、増改築した場合には、住宅ローンの年末残高に一定の率を掛けた金額について税額控除を受けることができます。
居住年:平成26年1月~令和3年12月
住宅ローンの年末残高限度額
一般住宅:4,000万円
認定住宅:5,000万円
控除率:1%
控除期間:10年間
適用要件
①返済期間が10年以上の住宅ローンであること
②住宅を取得した日から6カ月以内に居住し、適用を受ける各年の年末まで引き続き居住していること
③控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
④住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の半分以上の部分が自分で居住するためのものであること
その他のポイント
・住宅ローン控除額について、所得税から控除しきれない場合には、住民税(限度あり)から控除することができる
・住宅ローン控除の適用を受ける場合、確定申告が必要
※給与所得者であっても適用初年度は必要、2年目以降は不要
・親族や知人からの借入金は、住宅ローン控除の対象外
※勤務先からの借入金の場合は、1%以上の利率であれば対象となる
住宅の三世代同居改修工事にかかる特例
個人が、所有する居住用家屋について、一定の三世代同居改修工事等をして、平成28年4月1日から令和3年12月31日までの間に居住の用に供したときは、下記のいずれかの特例を適用することができます。
※一定の三世代同居改修工事
調理室、浴室、トイレ、玄関の増設工事(いずれか2つ以上が複数となるものに限る)であって、工事費用の合計が50万円を超えるもの
1.住宅借入金等特別控除の特例(借入金を利用する場合)
①一定の三世代同居改修工事にかかる費用(250万円が限度)に相当する住宅ローンの年末残高×2%
②①以外の住宅ローンの年末残高×1%
①と②の合計額(住宅ローン残高は1,000万円が限度)
控除期間:5年間
主な適用要件:償還期間が5年以上の住宅ローンであること
2.税額控除の特例(借入金を利用しない場合)
控除額:一定の三世代同居改修工事にかかる費用(250万円が限度)×10%
控除期間:居住の用に供した年
主な適用要件:
控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
その年の前年以前3年以内に、この特例の適用を受けていないこと
配当控除
配当所得について総合課税を選択した場合には、確定申告を行うことにより、配当控除を受けることができます。
対象外
・上場株式等の配当所得のうち、申告分離課税を選択したもの
・申告不要制度を選択したもの
・外国法人からの配当
・NISA口座で受け取った配当金 など
控除額
配当控除の控除額は配当所得の金額の10%ですが、課税総所得金額等が1,000万円を超えている場合には、その超過部分の金額の5%となります。
復興特別所得税
東日本大震災の復興財源を確保するため、復興特別所得税が創設されました。
平成25年から令和19年までの各年分の所得税を納める義務がある人は、復興特別所得税も納めなければならなりません。
源泉徴収の場合は、合計税率(所得税率×1.021)を用いて源泉所得税額&源泉復興特別所得税額を計算します。